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アウグスティヌス [哲学のヒトタチ]

アウグスティヌス

アウグスティヌスは、古代キリスト教の神学者、哲学者、説教者、ラテン教父とよばれる一群の神学者たちの一人です。
 キリスト教の学者であると同時に、哲学者であるアウグスティヌスですが、キリスト教は、もともと宗教でしたから、哲学からみれば、非合理な要素を含んでいました。
 ですから、ギリシア哲学的な合理性との折り合いがなかなかつかなかった部分がありました。
 教父哲学において、ギリシア哲学的な知とキリスト教的な信のどちらを優先させるべきかという形で争われていました。
 そんな中、神の存在を確かめなければ信仰は不可能であるとするグノーシス派と、神は合理的知すら超越しているからこそ、信じるほかないというテルトゥリアヌスが対立にいたったのです。
 この対立は、アウグスティヌスが終結させました。
 アウグスティヌスは、思想の中に知性と意志を混在、並置させることで、さまざまな説明をしました。
 たとえば、神と知性の関係として、神の存在などに疑えるのは、疑いえぬ永久真理が存在するからであり、その永久真理を作り出したのが永遠の知性をもつ存在である神だと説明したのです。
 また、信仰と意志の関係として、アダムは自分の意志で禁断の果実を食べ、人間の原罪が発生したとし、この罪を唯一教えるイエスを信じなければならないとしたのです。
 知性は知性として大事だけど、信仰のない知性は罪とすることで、信仰の大事さを強調したわけですからね。
 こうしたこともあり、アウグスティヌスは、教父哲学の最大の神学者だといわれています。
 そうした、アウグスティヌスは、心理や認識、存在、精神などその後、近代哲学の基礎となるようなさまざまな哲学場の問題を投げかけることになります。
 たとえば、真理を確証する、絶対的な根拠は、自己認識であるということの発見は、後の近代哲学のデカルト的な自己意識の確実性とつながっています。
 アウグスティヌスは、キリスト教の教義の一つである神の三位一体を人間の精神に反映させることで、精神の構造を解き明かしました。
 まず、アウグスティヌスは、創造者である三位一体の神がその似姿である人間にも反映されているとアウグスティヌスは、
精神を三つの根本的な活動が統一されたとして理解したのです。
 そして、アウグスティヌスは、精神構造を下記のように説明しました。
 以前の自分と今の自分を一致させる根本的な知。
 記憶の働き、内面化された明確な認識。
 知解の働きそして、その認識を愛し肯定する意志の働き。
 記憶から知解が生まれ、知解から意志を創出させ、この意志の働きが精神を自己と一致させると説いたわけです。
 ざっくり説明すれば、自己統一性が当然のように出来ているけれど、それがどのように、自己統一性がとられているか説明したことだということです。
 これにより、神学上の問題意識から生じたとはいえ、アウグスティヌスの考え方は精神の構造として、そのメカニズムに着目したところに大きな意義があるといえるでしょう。
 また、アウグスティヌスは、悪とは何か、ということを問いました。
 上述しましたが、アウグスティヌスは、若い頃、マニ教を信奉していました。
 マニ教は、グノーシス主義などの、オリエント思想に影響がうけており、善悪二元論という立場を取っていました。
 そこで、マニ教は、世界は神に背き堕落した創造神によって創られたとしていました。
 アウグスティヌスは、初めはグノーシス主義の一派であるマニ教に傾倒していましたが、マニ教を知れば知るほど、なんでも二つにはっきり分ける事に疑問を抱いていたのです。
 そこで、アウグスティヌスは悪の起源は何かという問題にこだわることになったのです。
 やがて、アウグスティヌスは、新プラトン主義にふれて、そして天啓という神秘体験を経て,キリスト教に回心することになったのです。
 アウグスティヌスは、新プラトン主義に出会って,善悪二元論から決別しました。
 しかし、新プラトン主義では,万物は完全な一者から流出するものですから、原理的には善しかないはずであるということになってしまいます。
 そこで、アウグスティヌスは、悪を善の欠如と考えたのです。
 さて、次は、アウグスティヌスは、神は、無から人間を創造したと考えていました。
 そして、神は、完全で存在をもち、善であるが、無から作られた限り、存在と善を欠いていると考えました。
 人間は、何も無いところスタートしたのだから、欠如した状態でスタートしたわけで、それを埋め合わせるために、人間は、さまざまなものを求めるとアウグスティヌスは考えたということです。
 これをアウグスティヌスは、クピディタスと呼んだそうです。
 アウグスティヌスは、欲望は、空虚なものを空虚なもので埋めようとする行為にすぎないため、欲望によって人間は永遠に満たされないと考えました。
 つまり、空虚を空虚で埋めるので満たされることはないということです。
 アウグスティヌスは、クピディタス、つまり、欲望を神に向けるときに、カリタスという神への愛に昇華させることで、クピディタスを抑制してカリタスを目覚めさせることをアウグスティヌスは勧めました。
 このような人間固有の自由意志と欲望という性質が原罪であるとアウグスティヌスは解釈しました。
 もちろん、自罪、つまり、キリスト教で、各人が自己の意志に基づいて犯した罪なら納得するのでしょうが、アウグスティヌスは、クニークルスが説明したように、原罪は、最初の人間であるアダムが自分の意志で禁断の果実を朽ちにしたという罪を犯したからだと考えたのです 
 この罪をとなえるのは、イエズスだけなので、人は彼を信じるしかないとアウグスティヌスは主張したのです。
 信仰の根拠を意志の次元にある点に、アウグスティヌスの主意主義があるといえるでしょう。
 原罪による空虚さを埋めることが出来るのか.その欲望を神に向けるのであるとアウグスティヌスは考えました。
 このとき、それは神への愛としてのカリタスとなるわけです。
 いかに合理的であろうとも、魂を救うことが出来なければ、それは真の知識とは呼べないわけです。
 アウグスティヌスは、信仰の光によってのみ、知識は真理となると主張しました。
 次に、アウグスティヌスが考えた、時間とは何か、について
です。
 ここで言う時間は、概念的なもので、アウグスティヌスは天地創造の前、神はどうしていらしたのか?
 問いを投げかけていました。
 アウグスティヌスは、そもそも、神は、天地創造した際にすべてを作られたと考えました。
 ですから、時間をつくったのも神だといえます。
 そもそも、時間が創造される以前には前とか後とかという概念自体が存在しないということです。
 アウグスティヌスは、また、時間とは,客観的にあるのではなく、記憶という過去のものの現在、今現在の知覚、注目、直感的に認識する現在のものの現在、未来を期待したり予感したりする未来のものの現在が存在するとしました。
 つまり、時間は心の中に存在するということになります。
 だからこそ、神は時間の外にあるといいえると、アウグスティヌスは考えました。
 そもそも、神には過去も未来もない。全てが同時に存在するとアウグスティヌスは考えました。
 それは、神は永遠であるゆえに、時間すら超越しているということになるわけです。
 そして、確実に知りえることは、自分が存在していることであり、自分が思惟することだとアウグスティヌスは主張します。
 このことから、自分がどこから来たかではないし、自分を単一であると感じるか、それとも多数であると感じるのか? という問いの回答は、永遠に知りえないとしました。
 次に、アウグスティヌスの終末論について考えました。
 一般に、終末論というと、現世の最後についての教説のことです。
 大抵の場合、個人や人類の死を論じ,救済・審判や復活・転生などを問題にすることが多いですね』
 アウグスティヌスの終末論は、パウロやヨハネの黙示録によってキリスト教に導入された、ユダヤ教の終末観によって、救済されるということを論理的にまとめました。
 このアウグスティヌスの終末論によって、人類の歴史は目的と意味を持つようになったといえるでしょう。
 アウグスティヌスは、最終的に人類が目指すべきものは何かを提示したといえるのです。
 といいますのも、アウグスティヌスは、原罪を抱える人類は、全て悪であると考えていました。
 原罪というのは、キリスト教で、人類の祖、アダムが犯した最初の罪のことです。
 そして、その罪が子孫に伝わったのであり、アダムの子孫である人類はアダムの子孫であるというだけで、原罪をかかえていると、アウグスティヌス考えました。
 アウグスティヌスは、この考え方で、神と人類の絆を修復する方法は、キリスト教に帰依すること、つまり、洗礼を受けることだと考えたのです。
 そして、キリスト教において、洗礼を死ぬ者は、たとえ幼児でさえ地獄の責め苦を逃れ得ないとし、洗礼を受けた者のうち選ばれたものだけが、救済されるのだとアウグスティヌスは考えたのです。
 次に、アウグスティヌスと新プラトン主義についてです。
 アウグスティヌスは、プロティノスを通して新プラトン主義の影響をうけ、世界に存在するすべての原理的根拠はイデアとしての神の精神に含まれると考えました。
 通常、人は、自然的実在については、身体的な感覚を通して、感覚的知識を得ることになります。
 しかし、真の実在については、神の精神の中に存在しているイデアが神の光として、人間の知性を照らすことによって、はじめて真理の認識が可能となるということです。
 つまり、アウグスティヌスは、神の精神にイデアは含まれているという考えました。
 そして、神の精神は世界のすべてであるということです。
 これは、一人一人の人間の意志すらも、神の精神の一部であり、だからこそ、神の法も人間の心の内に書き込まれているとアウグスティヌスは考えました。
 人間の意志の自由は、神によって与えられているのです。
 ただ、アウグスティヌスは、人類は原罪を抱えていると考えいうのは前にもやりましたね。
 原罪下における人間の意志の自由は、いわば”罪を犯さざるを得ない”自由になってしまっています。
 ですから、神の無償の恩寵によって、”罪を犯すことのない”自由へと変えられなければならないと主張しました。
 そのため、アウグスティヌスは常に”神よ、あなたの命じるものを与えたまえ。あなたの欲するものを命じたまえ”と祈ったといわれています。
 そして、アウグスティヌスは、はっきりと,神の国と地の国の区別をしました。
神の国というのが、神の秩序、地の国というのが、世俗社会の秩序の区別をはっきりさせたということです。
 つまり、人間には、二つの愛があり、その二つの愛が、二つの国をつくったのです。
 一つは、神を軽蔑するまでにいたる、自己愛が地の国です。
 自己を軽蔑するまでにいたる、神の愛が、天の国です。
 アウグスティヌスは、二つの国という表現で、二つの愛が成立原理となり、二つの相反する国の創生と抗争展開したのです。
 そして、その終末を描いた壮大な哲学者がアウグスティヌスの神の国だということです。
  そして、神の意図(プラトンでいうイデア)に基づいて、世界は創られたというプラトン的存在論も受け継いでいるのです




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